Q1−6(財務書類の見方、使い方について)
通常の歳入歳出決算と財務書類の見方の違いについて教えてください。
A 歳入歳出決算はいわゆる官庁会計と呼ばれ、主に現金主義に基づき決算が行われます。現金主義
会計とは、現金預金の収支を記録する会計手法である一方、財務書類は民間の会計と同様に発生
主義に基づき決算が行われます。発生主義会計とは、現金の収支だけでなく経済的事象の発生の
都度記録をする会計であり、所有権や債務の発生についても記録されることがあります。現金主義会
計が手元にある現金預金を管理する会計に対し、発生主義会計は実質的にどれだけの利益を獲得
したかを把握するために行われます。
そのため、現金主義では、前年度からの繰越金、借入金や基金からの繰入が収入になりますが、発生
主義ではそれらは収益なりません。また現金主義では借入金の返済や基金の積み立ては支出になり
ますが、発生主義ではそれらは費用になりません。これらは事業を通して実質的に増えたものではなく
利益ではないからです。一方、モノのコストとして減価償却費があります。これは取得した固定資産を
利用期間にわたって各会計期間に費用として按分するものですが、これは計上時に現金の入出金
を伴わないことから現金主義会計では記録されませんが、発生主義会計では記録されます。
予算管理の視点では、現在の現金預金を管理できる現金主義は有効に機能しますが、利益の状
況などを把握してゆくには、発生主義に基づいて作成される財務書類を使用して、その状況を把握
する必要があります。また、財務書類はフローだけでなくストックの情報を貸借対照表などから把握
することもできます。官庁会計はフローの会計であることから、官庁会計では把握が困難なストック
情報の活用も期待できます。
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作成日:2021/08/10
【自治体】公会計に関するQ&A1−6
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